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岡本和真、全方向への長打の肖像

強い打球を、全方向へ。メジャー移籍1年目の岡本和真の打球の傾向を、データから読み解く。

岡本和真(おかもと・かずま)は2026年、読売ジャイアンツからトロント・ブルージェイズへと移り、メジャーの舞台に降り立った。同期には、東京ヤクルトスワローズから移籍した村上宗隆(むらかみ・むねたか)がいる。 本稿では、岡本が現在メジャーリーグでどのような打球を打っているのか、現状のデータからその傾向を整理する。少しだけ立ち止まって、この打者の打球の傾向を見てみよう。

打球の強さ

まず目を引くのは、打球の強さである(図C)。指標を並べると、リーグ平均を大きく上回る強い打球を打っている事実が確認できる。 平均打球速度は147.8 km/hで、規定到達打者のなかで上位約9%に位置し、リーグ平均の141.8 km/hを大きく上回っている。最高打球速度は181.2 km/h(上位約18%)を記録した。約152.9 km/h以上の打球の割合を示すハードヒット率は49.1%(上位約10%)であり、これもリーグ平均の39.1%を上回る。 さらにバレル率は14.2%(上位約9%)に達し、リーグ平均の7.99%と比べて高い水準にある。また、打ち上げたフライが本塁打になる割合(HR/FB)は28.8%(上位約8%)である。

岡本の打球の強さとリーグ平均の比較(2026年)

規定到達打者(384人)のなかでの位置を併記

岡本リーグ平均

72試合経過時点(2026年6月18日まで)の暫定値・独自集計

パーセンタイルは2026年の規定到達打者(インプレー打球50以上の384人)のなかでの位置

図C:岡本の打球の強さを、2026年のリーグ平均と4つの指標で比較した。ハードヒット率・バレル率・フライの本塁打率(いずれも%)はいずれもリーグ平均を上回り、平均打球速度(km/h)も同様である。各指標の数値の右に、規定到達打者384人のなかでの位置(上位約何%か)を併記した。出典:Statcast・独自集計。
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全方向への長打

強い打球を、どの方向へ飛ばしているのだろうか。最大の特徴は、引っ張りのフライに偏らず、全方向に長打を打っていることだ(図A)。 現在までの本塁打全15本の内訳を見ると、逆方向へ4本、センターへ4本、引っ張り方向へ7本と、各方向へ広角に打ち分けている(座標データが記録されている14本だけで見ると、逆方向4本、センター4本、引っ張り6本である)。 引っ張りのフライの割合は11.2%(上位約29%)にとどまる。リーグ平均の9.35%をわずかに上回る程度であり、長打が引っ張りのフライに集中していないことが読み取れる。

岡本のホームラン打球方向(2026年)

逆方向4・センター4・引っ張り6(座標あり14本/全15本)

本塁打:逆方向(4本)本塁打:センター(4本)本塁打:引っ張り(6本)その他のインプレー打球

本塁打全15本のうち、座標データのない1本(引っ張り方向)を除外して描画

72試合経過時点(2026年6月18日まで)の暫定値・独自集計

図A:岡本の本塁打の打球方向(横軸:− 逆方向/+ 引っ張り)と打球角度(縦軸)。座標が記録された14本を、逆方向(丸)・センター(四角)・引っ張り(三角)に分けて示した。引っ張りのフライに偏らず、全方向に長打が散らばっている。薄い点はその他のインプレー打球。全15本のうち座標データのない1本(引っ張り方向)は除外している。出典:Statcast・独自集計。
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既知の強打者との位置づけ

この打球の傾向は、他の強打者と比べたとき、どのあたりに位置するのだろうか。「引っ張りのフライの割合」と「バレル率」の2つの指標で比べてみよう(図B)。 同期にメジャーへ移った村上は、引っ張りのフライの割合が14.9%、バレル率が20.7%である。カイル・シュワーバーはそれぞれ19.8%、20.4%を記録しており、彼らは引っ張ったフライが多いタイプだ。 対して岡本(11.2%、14.2%)は、彼らとは傾向が異なる。傾向としては、アーロン・ジャッジ(7.7%、21.7%)や大谷翔平(おおたに・しょうへい)(9.1%、17.1%)に近い位置にいる。ただし、岡本の打球の強さ(バレル率)は、大谷らのグループよりは一段下がる水準にある。

引っ張りのフライの割合とバレル率(2026年 規定到達打者)

引っ張りのフライが多い村上・シュワーバーとは異なり、岡本はジャッジ・大谷に近い位置にいる

岡本比較対象の強打者(①〜④)規定到達打者(384人)

パーセンタイルは2026年の規定到達打者(インプレー打球50以上の384人)のなかでの位置

現状の打球傾向を整理した記述的な図であり、要因を断定するものではない

72試合経過時点(2026年6月18日まで)の暫定値・独自集計

図B:横軸は引っ張りのフライの割合、縦軸はバレル率(いずれも%)。2026年の規定到達打者384人を薄い点、岡本をオレンジ、比較対象の村上・シュワーバー・ジャッジ・大谷を番号付きの青い点で示した。引っ張りのフライが多い村上・シュワーバーとは傾向が異なり、岡本はジャッジ・大谷に近い位置にいる。引っ張りのフライの割合は独自指標である。出典:Statcast・独自集計。
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打球角度とフライの形

打球角度についても確認しておこう。平均打球角度は17.0度で、比べる相手のなかで上位約22%にあたる。フライ率は30.8%(上位約26%)であり、平均以上の角度でフライを打ち上げている。前述したように、そのフライが高い割合(28.8%)で本塁打になっている。

結びと但し書き

最後に、ここまでの数字を読むうえでの注意点を、いくつか挙げておきたい。 ここに挙げた数字は、72試合経過時点(299打席、インプレー打球169)の暫定値として読むべきである。現在の本塁打ペースはあくまで計算上の数字であり、将来の予測ではない。また、引っ張りのフライの割合は独自指標である。 本稿のデータは、現在の打球の傾向を整理する現状整理として読まれたい。何が成績をもたらしているかという要因を断定するものではない。岡本の2026年シーズンが今後どのように展開していくのか、引き続き楽しみに見守っていきたい。